台湾大学応用数学研究所(数理統計)に合格した話

2017年8月8日に少し更新

はじめに

2016年2月20日、21日(民国105年)に台湾の国立台湾大学の大学院の修士課程の入試を受けてきました。私は今回2つの学科を受験したのですが、初日は「台湾大学・応用数学科学研究科・数理統計学専攻」を受験し、2日目は「統計修士学位学程」を受験しました。

3月16日に合格発表があり、応用数学研究科は正取一(首席)で合格しており、統計修士学位学程は、備三(補欠3位なので実質不合格みたいなもんです)でした。(まあ首席といっても合計39名だけでしたが。合格者は私を含めて2名だったので、合格率は約5%ぐらいでした)

台湾の大学院受験・留学を考えている人の参考になるかどうかは分かりませんが、このことについて書きます。

台湾で大学院を目指すようになったきっかけ

私は京都大学工学部情報学科と情報学研究科という所で、人工知能の研究室に所属しており、修士課程まで修了しました。当時、自分の研究にはあまり興味を持てず、あまりちゃんと勉強できなかったという思いがありました。卒業してから、しばらくして、統計学に興味を持ち、機会があれば海外の大学院で統計学の学位を取得したいなあと思うようになりました。台湾自体は元々、修士一年のときに、1年弱中国語の勉強をするために、滞在していて、なかなかよかったので、また戻ってきたいという思いはありました。

そこで台湾の最高峰の台湾大学で統計学を勉強出来る所を探した所、「応用数学科学研究所」と「統計学位学程」で統計学が勉強できることが分かり、そこを目指すことにしたわけです。

受験の申込みの話

まず日本人の場合(私も日本人ですが・・)、私と同じように台湾人の学生と勝負しなくても、外国人の身分を利用した特別な受験方法があったはずですので、そういう方法を検討してもよいかもしれませんが、私はそれについては把握してないので各自でお調べ下さい。(参考URL)  なお外国人の身分を利用して入学した場合は、台湾学生の2倍の授業料がかかるようです。私は台湾人と同じ方式で入学したので、授業料は台湾人学生と同じです。

以下は、台湾人と同じ試験を受けて入る場合の申し込みに関する備忘録です。入試には推薦入試と一般入試の2つの選抜方法がありますが、私は後者の一般入試を利用しました。私の受験した研究所では、単純に筆記試験の成績だけで、順位が決まる仕組みになっています。一般入試の場合は、だいたい毎年11月末頃に「簡章」が発表されます。簡章とは入学試験の案内みたいなものです。こちらのURLをチェックするようにしてください。

申し込みの手順ですが、少し忘れてしまったのですが、12月の申し込み期間中に、台湾大学のサイト上で、振り込み番号(繳款帳號)みたいなのを取得して(同時に通行碼というパスワードみたいなものも表示されるのでそちらもメモする)、その振り込み番号をメモして、受験料(1500元)を台湾国内のATMから振り込みというものだったはずです。

お金を振り込んだ後、繳款號碼と通行碼を入力してログインすれば、受験申込が出来るというものだったはずです。申込画面で、自分の名前やら、どこの研究科を受験するかといった情報を入力します。(2016年12月更新情報→) また私の受けた翌年(2016年度12月申し込みの分)からですが外籍学生は居留証の番号を入力することが必要になったようです。但し「外籍学生」の言葉の厳密な定義については各自お問い合わせください。

なお私のように2つの研究科を受験する場合、↑の振り込み番号は2回取得しておく必要があります。

1月中旬頃に受験票が送られてくるので、そこに写真を貼り付けて試験当日持って行きます。写真は大きめのサイズの写真ですので、注意してください。

勉強法・試験対策などに関して

台湾大学の応用数学科学研究科の数理統計専攻の試験科目は

  • 微積分D
  • 機率統計(確率統計)
  • 英文A
  • 線性代數A(線型代数)

でした。過去問などは台湾大学のサイトからダウンロードできます。ただ解答はないので、台湾国内で参考書を買ったほうがいいと思います。博客來や三民網路書店で海外発送も出来たかもしれません。私の買った参考書は、應用數學科學研究所の過去問の解答なども下記の本で収録されていました。

です。

微積分は過去問を見たら結構簡単だと高をくくっていたら、本番は結構難しくて焦りました。(n次元球の体積を求めよとかグリーンの定理とか、過去問より大分難しくなっていた)

線型代数の参考書は線性代數考題精解の各年のバージョンを4冊買って、各大学院の応用数学科の過去問を解いていたのですが、これだけでは不十分だったかなと思います。線型代数の本番はかなり難しかったです。

統計学は郭明慶という方の書いている統計学の過去問演習書で、収録されていた問題全て合計9年分の問題を全て解きました。たぶん大問で1000問ぐらいは解いた気がします。たぶん統計学はこれだけ解けば十分かなと思います。

また解答に使用する言語は規定がありませんが、私は中国語で解答するように練習しておきました。

試験当日に関して

外国人はおそらく私一人だけだったと思います(笑) 試験当日は受験票とパスポートを持って行きます。私はパスポートしか見せませんでしたが居留証をお持ちの方は居留証もお持ちを。また筆記用具も必ず忘れないようにしましょう。また試験は下敷きを使ってもOKですので、下敷きを持って行くと良いと思います。ただしカンニングと間違われないように、柄のついてない無地の透明の下敷きをおすすめします。

各科目で、試験15分ぐらい前になると全員退室させられ、試験官が問題用紙を机に置きます。試験5分前になると入室するようにいわれ、慌ただしい雰囲気の中入室し、着席します。カバンなどは、教室の一番前から一番後ろに置かなければなりません。

台湾大学のサイトで、解答用紙のサンプルがダウンロードが出来ますので、見ておくと本番焦らずにすむかと思います。私は当日になって初めて解答用紙を見たので、少し慣れませんでした。ただし英語はマークシートですので、この解答用紙は使いません。

英語は2Bを鉛筆を使用してマークするように言われましたが、私は日本から持って行ったシャープペンとユニのB芯でしたがちゃんと読み取りできていたようです。

ちなみに1日目の応用数学研究科は台湾大学の普通教學館というところでしたが、2日目の統計学位学程は台灣科技大學で受験でした。どちらもMRT公館から歩いて行きました。

試験発表について

私の受験した研究科は無口試所、つまり面接がないので、今年は3月16日に発表でした。ネット上でPDFファイルで発表する形でした。第一志望だった応用数学科学研究所で1位で合格していたことを知ったときは嬉しかったです。

(ただし確率統計の点数が、思っていたよりかなり低かったのは納得いかなかったです。) 2日目の統計碩士学位学程も、ほぼ満点とれたかと思いましたが、実際の得点は8割未満の得点しかありませんでした。まあそちらは受かっても落ちてもどうでもよかったですが。

現在について

現在は無事台湾大学で修士生活を送っております。大学生活に関してはあまり書いてなかったので、またおいおい更新していきたいと思います。

統計学検定1級に合格した勉強法

本文章は、統計検定の合格体験記として投稿させていただいたものですが、先日、統計検定の合格者の声に掲載されました。

追記:2017/2/13に追記しました。

2015年11月29日に統計検定1級を受験し、無事に合格出来たので、いままで自分が取り組んできてよかったと思う教材や勉強法を公開したいと思う。なお統計応用は理工学で受験をしてきた。また午前の統計数理はS評価で合格していた。

【きっかけ】

私の専門は情報工学で統計学と言えば学部・院時代に機械学習の科目があったが余り理解せずに卒業してしまった。統計検定は書店で偶然知ったが、学生時代に統計をしっかり勉強できなかったという後悔があったので勉強がてらに受験を決意した。勉強を始めたのは試験の9ヶ月程前で、当初は学生時代に僅かに勉強した事すら忘れていたが、短期間の勉強で幸い一発合格でき、また午前の試験では最優秀成績賞を頂けたので満足している。以下は具体的に自分の行った勉強法。

【具体的な勉強法】

(初期)まず[1]→[2]の例題・演習問題を全て解く所から始めた。基本的な問題ばかりだが、これら2冊をしっかり終えることで大抵の数式操作が自力で出来るようになった。

(中期)[3]は比較的本格的な入門書だと思う。条件付き分布、確率収束・法則収束、順序統計量、完備十分統計量、UMVUE、最強力検定、尤度比検定等の概念はこの本で初めて学んだ。[4]も同じ著者だが、[3]で分からない時に[4]を参照するとヒントが見つかる事もある。[4]はかなり詳しい部類なので長く辞書として活用できると思う。[3]の次は[5]に進んだが、線形モデル(回帰モデル・分散分析)の章だけを読んだ。[6]は半分くらいしか読めてないが洋書の定番の入門書らしい。1~8章は[3]と内容はかぶっており、9章以降は線形モデル、ノンパラメトリック検定、ベイズ推定等。EMアルゴリズム等も載っているので機械学習を勉強している人にも役立つかもしれない。余談だがネットで検索すれば詳しい解答資料が見つかる。

(後期)日本語ではないが演習書[8],[9]は実力養成に一番役立った。台湾の各大学院の統計学の院試問題と解答例が収録されている。(この2冊で大体の問題は解けるようになると思う) 条件付き分布、順序統計量、漸近分布、MLE、CRLB(クラメールラオの下限)、UMVUE、最強力検定、尤度比検定、ベイズ推定、回帰分析・分散分析、有名定理の証明等がよく出題されている。問題文の多くは英語なので中国語が読めなくても十分活用出来ると思う。(※「博客來」等から日本でも取り寄せ可能だと思う。なお[6]も繁体中国語版は「博客來」で入手可)

(その他)[7]はメインとして使っていないが、易しく丁寧に書かれている印象で偶に参照しているので挙げさせていただいた。

参考図書一覧

  1. [1] 演習キャンパスゼミ統計学(マセマ)
  2. [2] 明解演習・数理統計(小寺平治)
  3. [3] 入門演習・数理統計(野田一雄,宮岡悦良)
  4. [4] 数理統計学の基礎(野田一雄,宮岡悦良)
  5. [5] 数理統計学・基礎からのデータ解析(鈴木武)
  6. [6] Introduction to Mathematical Statistics (Robert V.Hogg)
  7. [7] 現代数理統計学(竹村彰通)
  8. [8] 名校專攻 統計學歷屆試題104-102年(郭明慶)
  9. [9] 統計學102-97年歷屆試題詳解(郭明慶)

参考図書に関して少し追記(2017/2/13)

[6] Rovert V. HoggのIntroduction To Mathematical Statisticsは実は既に日本語されていることに最近気づきました。豊田秀樹氏の数理統計学ハンドブックです。ちなみに辞典のように分厚いです。お値段は2万円を超えますw

郭明慶氏の統計学演習問題集は、更に古いバージョン「96年度版」、「91-95年度版」なども存在しております。博客來讀冊などで購入可能かもしれません。

また私がその台湾の院試問題をこちらのサイトで順序日本語化を進めております。(解答は私が一から自分で書き直しています)

追記と更新(2017/2/13):

昨年、台湾大学の応用数学研究所の数理統計コースの修士課程に合格し、現在は大学院で統計専攻として勉強しております。さて、上で書いた統計検定1級の対策に用いた教材に加えて、新たに出会った教材なども紹介していきたいと思います。

回帰分析に関する本として授業で用いているのが以下の教材ですが、私が日本語で読んでいた数理統計の教科書の線形モデルに関する解説よりもずっと詳しいです。ちょくちょくおかしいところ、解説が不親切なところもありますが全体的には収穫は大きいです。

高等統計推論という科目ではCasella and BergerのStatistical Inferenceという本が参考書に指定されていました。演習問題が豊富に収録されている点、ネット上で演習問題の解答も転がっているので(Casella and Berger solutionとかでググる)わりと良い教科書かもしれません。ただし上で挙げた台湾の院試演習をしっかりこなした人であればほとんどの問題は簡単に解けるかもしれません。

ちなみに私の大学院で受けた授業のノートなどはこちらで公開しております。