統計学検定1級に合格した勉強法

本文章は、統計検定の合格体験記として投稿させていただいたものですが、先日、統計検定の合格者の声に掲載されました。

追記:2017/2/13に追記しました。

2015年11月29日に統計検定1級を受験し、無事に合格出来たので、いままで自分が取り組んできてよかったと思う教材や勉強法を公開したいと思う。なお統計応用は理工学で受験をしてきた。また午前の統計数理はS評価で合格していた。

【きっかけ】

私の専門は情報工学で統計学と言えば学部・院時代に機械学習の科目があったが余り理解せずに卒業してしまった。統計検定は書店で偶然知ったが、学生時代に統計をしっかり勉強できなかったという後悔があったので勉強がてらに受験を決意した。勉強を始めたのは試験の9ヶ月程前で、当初は学生時代に僅かに勉強した事すら忘れていたが、短期間の勉強で幸い一発合格でき、また午前の試験では最優秀成績賞を頂けたので満足している。以下は具体的に自分の行った勉強法。

【具体的な勉強法】

(初期)まず[1]→[2]の例題・演習問題を全て解く所から始めた。基本的な問題ばかりだが、これら2冊をしっかり終えることで大抵の数式操作が自力で出来るようになった。

(中期)[3]は比較的本格的な入門書だと思う。条件付き分布、確率収束・法則収束、順序統計量、完備十分統計量、UMVUE、最強力検定、尤度比検定等の概念はこの本で初めて学んだ。[4]も同じ著者だが、[3]で分からない時に[4]を参照するとヒントが見つかる事もある。[4]はかなり詳しい部類なので長く辞書として活用できると思う。[3]の次は[5]に進んだが、線形モデル(回帰モデル・分散分析)の章だけを読んだ。[6]は半分くらいしか読めてないが洋書の定番の入門書らしい。1~8章は[3]と内容はかぶっており、9章以降は線形モデル、ノンパラメトリック検定、ベイズ推定等。EMアルゴリズム等も載っているので機械学習を勉強している人にも役立つかもしれない。余談だがネットで検索すれば詳しい解答資料が見つかる。

(後期)日本語ではないが演習書[8],[9]は実力養成に一番役立った。台湾の各大学院の統計学の院試問題と解答例が収録されている。(この2冊で大体の問題は解けるようになると思う) 条件付き分布、順序統計量、漸近分布、MLE、CRLB(クラメールラオの下限)、UMVUE、最強力検定、尤度比検定、ベイズ推定、回帰分析・分散分析、有名定理の証明等がよく出題されている。問題文の多くは英語なので中国語が読めなくても十分活用出来ると思う。(※「博客來」等から日本でも取り寄せ可能だと思う。なお[6]も繁体中国語版は「博客來」で入手可)

(その他)[7]はメインとして使っていないが、易しく丁寧に書かれている印象で偶に参照しているので挙げさせていただいた。

参考図書一覧

  1. [1] 演習キャンパスゼミ統計学(マセマ)
  2. [2] 明解演習・数理統計(小寺平治)
  3. [3] 入門演習・数理統計(野田一雄,宮岡悦良)
  4. [4] 数理統計学の基礎(野田一雄,宮岡悦良)
  5. [5] 数理統計学・基礎からのデータ解析(鈴木武)
  6. [6] Introduction to Mathematical Statistics (Robert V.Hogg)
  7. [7] 現代数理統計学(竹村彰通)
  8. [8] 名校專攻 統計學歷屆試題104-102年(郭明慶)
  9. [9] 統計學102-97年歷屆試題詳解(郭明慶)

参考図書に関して少し追記(2017/2/13)

[6] Rovert V. HoggのIntroduction To Mathematical Statisticsは実は既に日本語されていることに最近気づきました。豊田秀樹氏の数理統計学ハンドブックです。ちなみに辞典のように分厚いです。お値段は2万円を超えますw

郭明慶氏の統計学演習問題集は、更に古いバージョン「96年度版」、「91-95年度版」なども存在しております。博客來讀冊などで購入可能かもしれません。

また私がその台湾の院試問題をこちらのサイトで順序日本語化を進めております。(解答は私が一から自分で書き直しています)

追記と更新(2017/2/13):

昨年、台湾大学の応用数学研究所の数理統計コースの修士課程に合格し、現在は大学院で統計専攻として勉強しております。さて、上で書いた統計検定1級の対策に用いた教材に加えて、新たに出会った教材なども紹介していきたいと思います。

回帰分析に関する本として授業で用いているのが以下の教材ですが、私が日本語で読んでいた数理統計の教科書の線形モデルに関する解説よりもずっと詳しいです。ちょくちょくおかしいところ、解説が不親切なところもありますが全体的には収穫は大きいです。

高等統計推論という科目ではCasella and BergerのStatistical Inferenceという本が参考書に指定されていました。演習問題が豊富に収録されている点、ネット上で演習問題の解答も転がっているので(Casella and Berger solutionとかでググる)わりと良い教科書かもしれません。ただし上で挙げた台湾の院試演習をしっかりこなした人であればほとんどの問題は簡単に解けるかもしれません。

ちなみに私の大学院で受けた授業のノートなどはこちらで公開しております。